蓮華温泉から白馬・雪倉・朝日


コース軌跡  蓮華温泉から懐かしい白馬を経て朝日岳までの縦走をしました。  今回の山行は夏山合宿の前山行としての位置付けでした。  山歩きを再開したとは言え、最近は事前の「食い溜め」、「寝溜め」の利く日帰りばかりでしたので、山小屋を連泊しながらの 山行で果たして体調が上手く管理できるかどうかとても不安でした。 

  しかし実際には行動を共にしたメンバーの お陰でとても素晴らしい山行をすることができました。 また最近の山小屋の環境はかなり快適であることも判り、 今更ながら小屋を上手く利用すれば装備のスリム化が図れ、結果的に体力不足を補えることも判りました。

 また多くの可憐な花が足元に咲いていることをあらためて発見し、感動しました。 学生の頃の昔には今回歩いた同じ尾根に 恐らくもっともっと沢山の花が咲いていたのでしょうが、何も見ず、何も感じず、今にして思えばずいぶんと勿体無いことを したと思うのはやはり歳をとったせいでしょうか・・・ 
          GPS 軌跡図   <拡大できます>    


【 日 程 】2005年 8月 2日(火)〜 8月 5日(金)
(2日(火)は蓮華温泉への入山のみ)
【メンバー】L 岩永(23M)  S.L.宍戸さん(20M)  宍戸夫人  山本(23M)


【行動記録】
8月2日(火)  曇り、夕方から雨   【入 山】
岩永車に松本でピックアップしてもらい、合宿の行われる岩岳で宍戸さん夫妻と合流。 岩岳から宍戸さんの車で蓮華温泉に 向う。 1700 頃到着したが、直前から激しい雨となり、濡れながらロッジに駆け込む。 濡れた服を乾燥室に吊るし、 夕食後は早めに就寝。 しかし同室となった二人のおじさんの鼾と歯軋りの二重奏に悩まされる。

8月3日(水)  晴れ、午後から曇り
04:25 蓮華温泉発 --(休)-- 06:30 天狗の庭 06:35 --(休)-- 08:10 白馬大池 09:00 -- 09:50 船越の頭 10:00 -- 10:55 小蓮華 11:30 -- 12:15 三国境通過 --(休)-- 13:15 白馬頂上 13:25 -- 13:35 白馬山荘着              合計 9時間10分 実働 6時間45分  

3時30分起床。 朝食は昨夜のうちにお弁当として受け取り、行動中に摂ることにして出来るだけ早く出発。 明日からも このパターンにする。 この方が時間の節約だけでなく、食欲を持って食べられて身体にも良さそうである。 山小屋利用の経験豊富な 宍戸さんの知恵。

 最初はヘッドランプを点けて樹林帯の中を行くが次第に明るくなると雲が切れてきたことも判りほっとする。 今回でご一緒するのは 3回目となるが、前を歩く宍戸夫人の足運びは相変わらず軽やかで確かだ。  2本目で天狗の庭に出るといきなり展望が開け、雪倉から朝日にかけての 大パノラマを眼にすることができた。
《 雪倉から朝日のパノラマ 》

天狗の庭を過ぎしばらくすると傾斜も緩み、やがて森林限界を越えると広々とした白馬大池に着いた。 周りには チングルマ、コイワカガミ、コバイケイソウなどが咲き誇っていて、白馬の方から降りてきた人、栂池などの下から上がって来たであろう人々で 俄に賑やかになった。 山荘の前で我々もお湯を沸かしてコーヒーを楽しむ。
白馬大池 チングルマ、コイワカガミ コマクサ

 大池からはいよいよ稜線歩きが始まる。 少し雲が出てきたが遠くまで続く稜線を見ながら 乾いた尾根を踏みしめて歩いていると「縦走」の楽しさを実感する。 行き交う登山者の数は多いがそれ程鬱陶しさを感じないのは やはり山容が大きいせいであろう。 小蓮華に着く頃から雲が多くなり、楽しみにしていた白馬三山は望めなかった。 その後も花に囲まれた尾根道を 歩いているうちに三国境に着く。 三国境では多くの人が休憩している。 ルートの交差点で情報交換でもしているのであろうか。

 三国境を通過してしばらくすると岩永君が稜線の左下に40数年前の春山でテントを吹き飛ばされたと思しき  窪地 を発見し、休憩することになった。 感無量になり、思わず登山道から外れて眺めていると、 高山植物保護のため登山道を外さないように注意されてしまった。  たとえ直接花を踏まなくても周囲の地面を踏むことで色々と植生に影響があるのだろう。 感慨も吹き飛び深く反省した次第。
稜線へ 多い残雪 縦走路   <拡大できます>

 再び稜線を歩き始めたが、白馬の頂上はもうすぐだ。 この稜線を歩いたのはいつも積雪期だったような気がする。 一度だけ夏の横尾右俣での定着合宿に 引き続いて出た主脈・後立山の縦走で逆向きに通った筈だがあまり記憶がない。 そんなことを考えながら歩いているうちに白馬岳の山頂に着いた。  すでにガスの中であったが、グループ交替でお定まりの記念撮影。

 白馬山荘は1200〜1500人も収容できる大きな山荘で、フロントの隣には気象担当の専門官の詰め所もあり、FAXで各種の 気象データを取り独自に予報も出していた。 また別棟の立派なレストランや登山ウエァーの専門店もあり、その規模の多きさに驚くばかり。   しかしながら、次第に3000M近い山の上に居るのだという実感が遠のき、違和感さえ感じた。 この白馬山荘は今年で小屋が 出来て100周年とのこと。 夜にはレストランで記念行事をやっていた。

 早く着いた我々は比較的良い部屋(寝る区画)を与えられ、夕食の順番も 早く「早出、早着」の効果を実感できた。 19時半就寝。 
シオガマなど 白馬頂上にて レストランから見る村営小屋

8月4日(木)  晴れ、午後から曇り
04:20 白馬山荘発 -- 04:35 白馬山頂(ご来光)05:12 -- 05:45 三国境通過 --(休)-- 07:40 雪倉避難小屋 07:57 -- 08:43 雪倉山頂 09:25 -- (休)-- 11:30 水場 12:07 -- 12:30 水平道分岐 --(休)-- (休)-- 14:40 朝日小屋着              合計 10時間20分 実働 6時間46分  

3時30分起床。 早めに準備は整ったが山頂で日の出を迎えるため時間調整。 外に出るとヘッドランプを点けた人達が夫々に山頂へ 向うのが見える。 山頂でご来光を迎え、あらためて雪倉、朝日へ向けて踏み出す。 三国境の分岐を過ぎると急に人の数が少なくなったようだ。 朝日に輝く広い縦走路は とても清々しい。
 鉱山道への分岐の辺りで休憩。 ここは開けていて足元にはマツムシソウやコマクサが沢山咲いていて踏まないように気を使う。  またここからは白馬の後ろにある旭岳が立派に見える。 
朝日に染まる杓子、鑓 朝の縦走路   <拡大できます> 旭岳  足元の花はマツムシソウ

  やがて鉢ヶ岳を巻き終わる頃雪倉の大きな山容と避難小屋が見える。   避難小屋から雪倉山頂へは一登り。 途中で子供を連れた雷鳥に遭う。 昨日の主稜線とは別のゆったり、のんびりの 実に心地よい稜線歩きである。 雪倉山頂からは白馬がよく見え、反対側には大きな朝日岳と遠くにぽつんと赤く朝日小屋も見える。   雪倉岳山頂には標識として石のプレートが置かれているだけなので他のグループが記念撮影に苦労している姿が面白い。  
コマクサ一輪 雪倉避難小屋   <拡大できます> 朝日小屋遠望

 雪倉を下ると稜線から巻き道へと変わり展望がきかなくなるが、何箇所か水場が出て来る。 ついついコーヒーブレークと なってしまう。 この頃から雲が出始め、水平道に入った頃からは曇りとなってしまった。 展望もあまりきかず、単調で小さな登り下りも ある道をいささかうんざりしながらひたすら歩く。 しかし宍戸さんは残雪を見付けてはミルクを入れて即席かき氷にして楽しんでいた。  これが結構美味かった。 そしてようやく朝日小屋に到着。

 朝日小屋は広々としたコルにこじんまりと建っていた。 冬季小屋との間は テントサイトになっている。 次々に到着する宿泊客を女性主人がてきぱきと捌く。 そうした様子を東京から来たTVクルーが撮影していた。  我々は今日も大部屋でなく8人部屋を6人で使うことが出来た。  食事前の時間を小屋の外でおもいおもいに過ごす。 時々雲が切れて朝日岳が見えるが、越えてきた峰々は見えないのが残念である。 それでも 途中で顔を合わせた他のグループの人達との語らいも面白い。 明日はイブリ尾根を下るグループ、朝日から栂海新道を下って日本海へ抜ける人など様々のようだ。
 夕食はプラスチックではなく瀬戸物の食器で頂き、19時過ぎに就寝。 明日は3時起きだ。
雪倉山頂にて 雪倉を下る 朝日小屋到着  <拡大できます>

8月5日(金)  晴れ、午後から曇り
04:00 朝日小屋発 -- 05:00 朝日山頂(朝食)05:35 -- 06:00 吹上のコル通過 --(休)-- 07:50 青ザク 08:15 -- 08:37 花園三角点通過 -- (休)-- 10:00 白高地沢通過 -- 10:35 水場(コーヒー)11:15 --(休)-- 12:45 兵馬ノ平通過 -- 13:30 蓮華温泉着               合計 9時間30分 実働 7時間05分  

 下山後合宿地の岩岳に移動するため、13時には蓮華温泉に到着したいので4時に出発。 ヘッドランプの 明かりを頼りに黙々と朝日岳頂上を目指す。 頂上に着いた時は丁度日の出で又ご来光を見ることができた。 南を見れば 未だ明けきれていない空に昨日越えて来た白馬から小蓮華のスカイラインが浮かんで見えた。 朝食後、五輪尾根へ向けて下山開始。  
朝日をバックに朝日岳にて 白馬をバックに
《 朝日岳から望む越え来し峰々 》

 吹き上のコルで栂海新道への道と分れ、後は長い五輪尾根の下りとなる。 途中南を見れば雪倉と 小蓮華が望め、さらに振り返れば越えて来た朝日岳もどっしりとした山容を見せている。 青ザクの辺りからは下の方に これから進む木道が逆光で筋のように見えた。 この辺りまではまだ足元にマツムシソウなどの花もきれいだ。 花園三角点の 辺りは湿地帯で長い木道が続いている。 ここで一度不覚にも滑って尻餅をついてしまった。

 樹林帯の下から 沢の音が聞こえてきてようやく白高地沢に出た。 広い河原を鉄製の足場と仮橋で渡る。  
雪倉と小蓮華  <拡大できます> 朝日岳を振り返る  <拡大できます> 青ザクからの五輪尾根  <拡大できます>

  白高地沢を過ぎ、樹林帯の中をひたすら歩く。 そして一山越えた水場でまたまたコーヒータイム。   かなり長い登り返しの道にいい加減飽いた頃ようやく平坦なひらけた湿原に着くとそこが兵馬の平だった。 アヤメも咲いていて 綺麗な自然園となっていた。 後は「自然歩道」を噛みしめて歩き無事蓮華温泉に到着した。 やれやれ長い道のりだった。

 到着後は温泉で汗を流し着替えをした後、大いなる満足感と共に皆の待つ夏山合宿地の岩岳へ向った。 
マツムシソウ 木 道 兵馬の平

  【感 想】
 仲間と天候に恵まれてとても気持ちの良い山行でした。 コースの設定もバランスが良く、さすが経験の豊富なリーダーの 立案だったと思います。 メンバーの足も揃い、何時もながら宍戸夫人の軽やかな健脚振りには脱帽させられました。
 小蓮華から白馬へと三国境から雪倉への稜線歩きはまさに天上の散歩道、再びこのような処を歩くことが出来てとても 幸せでした。 小屋を利用して次はどの山へ登ろうかと考えています。
 

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